ハイブリッドYAGレーザー溶接トーチの概要

■ハイブリッドトーチによる溶接法の主たる特徴
(1) レーザー及びプラズマアークの各々が持っている特徴を生かし、合理的に超小型・軽量化して手動溶接トーチとして、また自動用としても容易に応用するべく構成されています。
(2) YAGレーザーは光ファイバー伝送が可能でフレキシブルな為扱い易く、その波長も炭酸ガスレーザーに比べ金属の吸収率が高く金属の溶接に適しています。
(3) ハイブリッド(YAGレーザー、プラズマアーク)の熱エネルギーは極小spotに安定して集中する特性を有し、熱影響範囲が狭く熔けこみの深い溶接結果を生み出します。
(4) 従来のレーザーでは困難なギャップを有する溶接部はプラズマの特徴を生かし可能性を高めます。
(5) レーザー溶接で多く発生するビード表面上の凹み、アンダーカットを大幅に無くすことが出来ます。
(6) 各々のエネルギー配分により溶融部形態が容易にコントロールが出来、レーザー溶接の問題点である、溶接線上の僅かな脱線による融合不良等を防げます
(7) 従来のレーザーでは難しかったアルミ合金溶接に発生する凝固割れ、ポロシティ等の防止ができます。
(8) レーザーのみによる溶接時は、溶融点挙動の目視確認はできませんでしたが、このハイブリッドにおいては、プラズマ光がこの点を明確に照らし遮光面を透して容易に確認でき、溶接効率とその信頼性を一段と高めます。
(9) 手動溶接時においては、作業状態によりトーチ先端部をワークに対して僅かな間隔を保つか或いは接触させて移動でき、トーチの移動性と溶接作業性が向上します。
*レーザー溶接時のトーチ先端接触進行はワーク表面の凸凹、スパッター等でスムーズなトーチ進行が妨げられる。
(10) 本ハイブリッド溶接方法は総合的に熱変換効率が高くなり、対象となる溶接電源は省エネ化と共に小型軽量化されます。
(11) レーザー溶接単独に比べ溶加材(ワイヤ)の溶融部挿入が一段と容易になります
*レーザー溶接の場合溶融部のスポット径が小さく適正許容加入範囲が狭くなりこの点難しくなる。
(12) 本トーチ内で形成されるアークはセンサー機能を有しており、トーチの高さ、レーザー発振のON/ OFF、出力のコントロール等多目的に使用でき自動、手動共に作業性と効率を高めます
(13) アークの可視光線は作業者のレーザー光の目に対する安全性を高めます。アーク発生時のみレーザー出力される構成により、作業者は確実にレーザー出射状態を知る事ができ、YAGレーザー単独に比べ安全対策が一段と簡単になります。(YAGレーザーは不可視光)
 
■ハイブリッド方式により形成される溶接ビードに関して
 
プラズマ溶接の場合、レーザーのそれに比べビード巾が大で其の割に溶け込みは浅くなります。このことはレーザー溶接に比べ入熱が大きくなり、これによる熱歪、溶接効率等の点で大きく劣ることになります。

これに対しレーザー溶接は効果的熱入力により、ビード巾が狭く深い溶け込みがえられ熱ひずみの少なく高速の溶接が出来る特徴があります。併しこの長所は先に記した如くポロシティ、ピンホール、融合不良という様々の欠点を同時に発生させる要素を含んでいます。
この点ハイブリッドの場合レーザー、アークの各々の特徴を持ったエネルギーをワークに合わせて配合出力することにより、効果的溶接が可能となります。
 
 
≪例えば≫
SUSのレーザー溶接においてビード表面上の中心部に発生する窪み、アンダーカット、及び溶融部下端部に発生するポロシティ、ピンホール等はプラズマエネルギーの増大を図ることで除去することが可能となります。

レーザーのアルミ合金の溶接で問題となる、凝固割れもプラズマの熱エネルギーの分布とその作用により防止効果が生じます。

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